Quality of German wine
ドイツワインの特徴
北緯五十度、日本の地に置き変えると北海道より北の地となります。このような北の地でドイツのワインは造られています。大河ラインの周辺を始め支流のアール川、モーゼル川、マイン川、ネッカー川などの川沿いでたくさんのワインが栽培されています。 他国のワイン畑と比べ、寒いドイツの地で葡萄を実らせ、素晴らしいワインを造るのはそう簡単な事ではありません。太陽光があまり強くないため、南欧では九月には収穫される葡萄でもドイツではまだ実が熟されず、十月に入ってからやっと収穫されるようになります。
糖度を多く含む高級なワインを造るには十一月まで待たなければなりません。太陽にあたる期間と収穫年の気候により、ワインに含まれるアルコ-ル度も違ってきますが他国のワイン生産地のそれとはだいぶ違います。南の国のワインは太陽の恵みをたくさん浴びるため葡萄の熟し方も早く、アルコール度も高くグラスにそそがれたその香りはよく熟した果実を感じ、口中に含むとワインの重ささえ感じさせます。ここが他国のワインとドイツワインの大きく違うところです。長い月日をかけてゆっくりと収穫されるドイツの葡萄は大変デリケートな甘みとフルーティな酸味に守られ、林檎、グレープフルーツ、パイン、洋梨などの香りをもち、アルコール度も一〇度前後に控えられた上品なワインとなります。
赤ワインについてもまったく同じ事が言えます。ドイツの赤ワインは物足りないと思われる方も多いと思いますがこれも気候,によるもので隣国のフランスと同じものができるはずはありません。ドイツにはドイツの良さがありそれを他国のものに似せる必要はないのです。ドイツ人はその点を良くわかっていますので、フランスのワインを飲みたい時にはフランスワインを、ドイツのワインを飲みたい時にはドイツワインをと分けています。
ドイツの赤ワインも最近は品種改良などで素晴らしいワインが市場に出始めました。ドルンフェルダー種がそれです。この品種現在ではラインヘッセンを始めファルツ、バーデン、ヴュルテンベルグでも栽培され、びっくりするほどのワインも造られています。もちろん年代、生産地、製造者により違いはありますが、世界どこに出品しても引けを取らないドイツの赤ワインがやっと造られるようになりました。残念な事に生産量が少なく、なかなか日本には輸出されて来ないのですが、今後より多くの醸造業者がこの品種を栽培し、ドイツの赤ワインが日本でも飲まれるようになる日もそう遠くはないでしょう。
主要生産地の特徴
モーゼルのワイン
白ワインを代表する地域、赤ワインも少量生産されていますが、残念な事にあまりにも生産量が少なく地元消費だけで日本に送る余裕はまだないようです。モーゼルの白ワインには一つの大きな特徴があります。ワインを飲む時には最初に色を見ます。透明な液体ではありますが、グラスを傾けるとその中に薄黄緑色または竹色をほのかに感じとることが出来ます。口中にワインを含みますと辛口系統のワインは柔らかな刺激と少し渋めの林檎酸を感じます。この刺激は発泡性によるものもあり、特に若いワインには刺激を多く感じ、年とともにまろやかさが出てくるのです。おもしろい事にわれわれ人間と同じではないでしょうか。シュペートレーゼのような甘口ワインは酸のおかげで、甘みをひきしまった味にしてくれています。
モーゼルワインはグリーンのボトルがよく使用されていますが、ワインの色素にある薄グリーンによってボトルの色を決めたのかも知れません。ちなみにラインガウのボトルは茶色。ラインガウのワインの色素は黄金色で、グリーンは含まれていません。黄金色は茶色の系統です。この事をドイツワイン協会の副会長に話しましたら『私もはっきりしたことは分からないが、ひょっとしたらその辺からモーゼルとラインのボトルの色の違いが来ているのかも知れない。まさかこんな事を日本人から教えられるとは』と笑っていました。私も本気で考えて言った事ではなくちょっとひらめいただけの事で言ってみただけでしたが、当たっているかも知れません。